名古屋高等裁判所 昭和35年(ネ)217号 判決 1960年12月23日
岐阜市長住町九丁目廿番地
控訴人
中央林材株式会社
右代表者代表取締役
山崎一
右訴訟代理人弁護士
山田丈夫
同
田中喜一
名古屋市中区南外堀町六丁目一番地
被控訴人
名古屋国税局長
太田亮一
右指定代理人名古屋法務局訟務部長
林倫正
同
法務事務官 野々村昭二
同
大蔵事務官 天池武文
同
大蔵事務官 伊藤明
右当事者間の昭和三五年(ネ)第二一七号所得税不当課税更正処分取消変更請求控訴事件につき当裁判所は左のとおり判決する。
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は原判決を取り消す。訴外岐阜北税務署長が昭和二八年三月三〇日付で控訴人に対しなした昭和二六年四月一日から同二七年三月三一日までの事業年度分法人税の更正処分並びに被控訴人が昭和二九年四月一二日付でなした右更正処分に対する審査請求棄却決定を取り消す。控訴人の昭和二六年四月一日から同二七年三月三一日までの事業年度における所得を金四七万二、〇〇〇円とする。訴訟費用は第一、第二審共被控訴人の負担とするとの判決を求めた。
被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。
当事者双方の事実上の陳述、証拠関係は左に附加する外原判決事実摘示のとおりであるから、ここにこれを引用する。
控訴代理人の陳述、
控訴人は昭和二五年一〇月三一日、当時国が訴外山谷林材株式会社に対して請求していた船舶払下代金等一三四万九、五五〇円余の内金七五万五、五四九円九九銭を右訴外会社のために引き受けて国に支払うことを約し、控訴人は右引受金の内金二二万一、九〇七円二六銭を国に支払つた。
控訴人が右債務の引受をしたのは、控訴人が右訴外会社から残余財産である船舶(未完成のものを含む)その原材料及び什器等一切を引き継いだから、その財産の限度において右債務の引受をしたわけである。しかして当時は闇横行のときであり且つ控訴人の会社としては本来の目的外のことであつたから会計技術上は船舶勘定として一括計上して漸次これを処分して相当額の利数を予期しておつたところが昭和二六年一〇月一五日の台風によつて長良川河口水辺にあつた目的物件の大部分が流失したので已むなく損失勘定として処理したわけである。
被控訴代理人の陳述
控訴人が山谷林材株式会社の残余財産一切を引き継いだことは否認する。昭和二六年一〇月一五日に台風が襲来したことは認める。
証拠関係、
控訴代理人は当審証人北村芳秀、谷本磯二、木村直永の各証言、及び当審における控訴会社代表者本人尋問の結果を援用し、乙第八、第九号証、第一四号証の成立を認め、乙第一〇乃至第一三号、第一五号証は不知と答え、被控訴代理人は乙第八乃至第一五号証を提出した。
理由
案ずるに、当審の判断も成立に争がない乙第八、第九号証、同第一四号証、第三者の作成にかかり当裁判所その成立を認める乙第一〇乃至第一三号証、同第一五号証、当審証人北村芳秀、谷本磯二、木村直永の各証言をも総合し原判決理由に説示されたとおりの判断であるから、ここにそれを引用すべく控訴人の主張に副う当審における控訴人会社代表者本人尋問の結果措信しない。
よつて本件控訴は理由がないからこれを棄却すべく、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八九条に則つて主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 坂本収二 裁判官 西川力一 裁判官 渡辺門偉男)